1975年に公開されたパニック映画史に残る名作の1つ、
「ジョーズ」をご覧になった方は多いでしょう。
あるいは見ていなくても名前だけは聞いたことがある!という人もいるでしょう。
ジョーズ(1975)はスピルバーグ監督が本格的にメガホンを取った力作の1つであり、そのムービーや恐怖映像には気合が入っています。
基本的にサメに襲われる市民、そのサメを退治しようとする3人の男同士による共闘・・といった展開が2部式で行われますが、そのほかにもサメによる被害が出ているのに経済のため海開き(各年において海水浴場を開設すること)を強行しようとする市長や、3人の仲間の1人がWW2時代のことを回顧したりと、社会風刺的な含みを持たせるような展開やセリフが随所に見られるのもジョーズという映画の特徴です。
今でこそジョーズ=鮫(サメ)という認識が一般的になっていますが本来のジョーズ(jaws)という英単語が意味するのは「顎(あご)」。つまり、鮫という意味ではないのです。
しかし本作で見せたサメの怪力や恐怖映像などを通じて一般的にジョーズ=鮫という認識が世間一般に広まってしまいました。
大抵の人はジョーズ=サメというふうに捉えているでしょう。
主人公(ブロディ)はなんの変哲もない、妻子持ちの普通の男。
船上での戦いや武器の扱いに慣れておらず、どこか臆病風を吹かすような頼りない人物でしたが、最後のシーンでは彼の機転のおかげでサメを退治(というか殺す)ことに成功しました。
ただ臆病とはいっても人命より経済を優先させる市長のやり方に猛烈に反対したり、無理やり海岸閉鎖の契約書をサインさせようとするなど中々の気概と正義感の持ち主でもあります。市長も最終的に2度目の被害が出たことを受け、自分の息子が海岸で遊んでいたこともあってついに海岸を閉鎖するという契約書にサインをしました。
次に主人公のお仲間の1人、フーパーは海洋学者の1人であり、やたらと理屈っぽいのが特徴的です。
1回目に捕獲したサメをフーパーが調査したところ、人民を襲ったサメとは別の個体であると即断し、市長にサメ退治の要請を出しました。
ちなみにこの時捕獲したサメは「イタチザメ」という個体のもの。
本作で登場した人喰いザメは「ホオジロザメ」という、皆さんも1度は聞いたことがあるであろう有名な大型鮫です。
ジョーズ=ホオジロザメといっても良いほどホオジロザメという知名度と名前のインパクトを世に知らしめた作品でもあります。
ちなみにこれも余談の1つですが、本来の生態系におけるホオジロザメはそこまで人間に対する警戒心はなく、実際ホオジロザメに襲われた事件も多くありません。むしろその前のイタチザメの方が遥かに凶暴性が高く、その上見境なく貪欲に獲物を追い求める「機会選択的捕食者」という特性を持つため、実際のサメによる襲撃事件はイタチザメの方が圧倒的に多いのです。
ホオジロザメが人間を襲うケースとして、人間をホオジロザメが好物とするアザラシやオットセイなどと勘違いしたり、人間が自分から威嚇してきた場合が多く、自分から直接危害を加えることは少ないと言われています。
サーフボードで腹這いにしている人間は特にアザラシと勘違いされやすく、ホオジロザメは浅瀬や近海など人間の生活圏と近い場所にも泳いでいるため注意が必要です。
少し話が逸れてしまいましたが、最後の仲間の1人、クインクという人物は漁師であり、鮫退治の名人でもあります。市民を次々と襲うホオジロザメの退治にのってかかり、最後までサメ退治に死力を尽くした人物です。
船の操縦や武器の扱いにも慣れており、ホオジロザメに2、3発のライフルを撃ち込んだことも。
(それでもピンピンとしてるホオジロザメは一体・・・。)
その後再び襲撃してきたホオジロザメと正面対決となりましたが船体が傾いた不利な状況でなすすべもなく、ブロディの眼前でクイークはホオジロザメに食い殺されてしまいました。割と強キャラ感(?)を漂わせていた割には呆気ない最後・・
と思いきや実は本作が参考にした原作ではクイークは死亡しておらず、代わりに仲間の1人であるフーパーが殺されています。
映画撮影の途中でスピルバーグ監督がフーパーと鮫との攻防戦で狙っても撮れない奇跡的なショットを出してしまったため、急遽フーパー生存ルート路線を模索。
フーパーはその頃ホオジロザメに毒薬を打ち込む形で防護ケージに入ったまま威嚇していましたが本来であればこの防護ケージすらも破って食い殺されるという展開のはずでした。
しかしホオジロザメがなぜか防護ケージの上に乗っかってしまうという狙ってもないようなショットに仕上がってしまったため、代わりにクイークにサメに食い殺されるというお鉢が回ってきたそう。(クイーク涙目、、)
とまあ、ざっくりジョーズという映画の特徴を書いてみました。
皆さんも時間があればぜひみてください。